新曲に出会うのはラジオだったが今は・・・

30~40年前、好きなアーティストの新曲や新人アーティストを知る機会はラジオが多かった。
テレビは今も同じように人気のある(売れている)アーティストしか出られなかったからだ。

選曲が放送前に見られるFM情報誌の存在

今では考えられないが30年くらい前には「FM情報誌」と言うジャンルの雑誌があって、放送される楽曲の曲名、アーティスト名が掲載されていた。
FMレコパル、FM STATION、週間FM、FM FANといったのが有名な雑誌だ。
当時は今のように生放送主体ではなく録音番組が多かった。またデジタルの今は録音番組も直ぐにオンラインで放送マスターに搬入(登録)ができるが、当時はテープに録音しいていたためネット局へはダビングしたテープを配送していた。そのため遅くても放送日の2~3週間前には番組が完成しており、雑誌社もあらかじめ選曲が把握できたのだ。
なお、テープといってもカセットテープではなく下の写真のような6mmのリールテープだ。

ちょっと話はそれてしまったが、当時の時代背景もあってFM情報誌と言うのが存在した。
当時カーラジオで気になる曲が流れた時はどうしていたかというと、家に帰ってから聴いていた番組をFM情報誌で探し掲載されているリストから曲名を知るという流れだった。
今はスマートフォンのSiriなどでその場で知ることができる。

音楽の比率が高かった当時のFM放送

専門の雑誌もあるように当時のFM番組は音楽主体のものが多かった。”More Music,Less Talk”(トークより、もっと音楽を)という言葉がFM業界で言われていて、BGM代わりに美容院やカフェなどのお洒落な空間では必ずFM放送が流れていた。
そんな音楽の多いFM放送だからこそ、流し聞きをしていることも多くラジオから流れてくる見知らぬ曲やアーティストの存在を知る機会になっていた。

選曲家の存在

筆者がラジオ業界に入ったころ、番組制作の現場はDJ(パーソナリティ)、ディレクター、アシスタントディレクター(AD)、放送作家、技術(ミキサー)、そして選曲家という人もいた(一部の番組)
選曲家は文字通り番組の選曲を専門にするスタッフであり、当日の番組内容によってその豊富な知識の中から最適な曲をセレクトするのが仕事。そうやって選曲された番組は全体的に心地よいものだったと記憶している。このように選曲家のセレクトする音楽で昔の隠れた名曲を知る機会にもなっていた。

ただこれバブルの時代の話であって、業界全体が厳しくなるにつれて選曲家の仕事は無くなってしまい、今はディレクターが選曲をしているのがほとんどだ。

今はSNSで新曲を知りSNSで最初に触れる時代

あれから30年、今はSNSで好きなアーティストの公式アカウントをフォローし最新情報を得ているのがほとんどだろう。YouTubeやTikTokなどの動画サイトで新曲のサンプルを聴き、リリース後はSpotifyやiTunesなどで聴くのが主流となっている。
そしてラジオの変わりに見知らぬ音楽と出会うきっかけは、スマホのアプリなどのAIが自動的にレコメンドして教えてくれる。便利な世の中になったとはいえ、ラジオがその役割を終えたのは少し残念な気もする。

ラジオが若者に果たす役割は何なのだろうか?
まだ可能性はあるとは思うが暗中模索が続いている2020年の年末である。