音が良いとリスナーが増えるのか?

ここ10年ほど家庭内のデジタル機器の増加によってAMラジオの電波にノイズが多く入るようになってきた。
液晶テレビ、LED照明、エアコン、インターネットのモデム、ソーラーパネルやパワーコンディショナーなど30年くらい前に比べると考えられないほどのノイズ源がある。
そんなAMのラジオ放送を安定して聴くために国が進めたのが、アナログテレビの空き周波数(90MHz~95MHz)を利用して運用するAMラジオのFM補完中継局(ワイドFM)というやつだ。
2020年現在、国内のほぼ全てのラジオ局がFMで電波を送信している。

クリアな音質でリスナーが増加?

ノイズまみれで聴くに耐えられなかったAM放送がFM波で放送することによってクリアな音質で聴くことができるようになる。
これは素晴らしいことなのだが、果たしてリスナーは増えるのだろうか?ワイドFMがスタートしてから6年、少しずつ90MHz帯を受信できるラジオは増えてきたが、2020年現在で世の中に出回っているラジオの多くが対応していないと思われる(筆者の車のカーラジオも8年前の車のため聴くことができない)
※現在販売されている新車に搭載されているカーステレオはほぼ対応しているとのこと。

果たしてどれだけの効果があったかはわからないが、リスナーを増やすほどの効果は無かったのではないだろうか?と筆者は思っている。

最終的な音質はリスナーが決めるもの

各ラジオ局の技術部門はより良い音質で放送すできるように日夜努力をしている。高品質なマイクと防音に優れたスタジオ設計、スタジオ機器のデジタル化や回線の品質、終段のコンプレッサーの調整などなど最高の音をあなたのラジオに届くようにしているのだ。

筆者が20代(ラジオ局の現場で働いていたころ)友人の車に乗せてもらう機会があった。車の改造にこだわっていた友人は車内の音響にも多額の資金を注ぎ込み、スピーカーやウーハーなど高額のものを取り付けていた。
そんな彼の車内で聴くラジオは重低音が強調され、ライブ(立体)感ある音質に変えられていて一般的にいう”音が良い”という状態とはかけ離れていた(笑)

このようにいくら局の技術スタッフが音にこだわって放送していても、最終的にリスナーが音を変えてしまえば無意味ということ。もちろんこれはこれで良いとは思う。どんな音で聴くかはリスナーの自由だからだ。
この時に筆者が思ったのは「良い音」というのは人それぞれであって、音質が悪くても(自分好みではなくても)最低限の音質であればリスナーは聴いてくれるのだと思う。
音質が良いからリスナーが増えるのではなく、一番は番組のコンテンツ(内容)であって音質は二の次だと思っている。

昨今のYouTubeでも映像編集やテロップなど見え方にこだわったユーチューバーは多いが、音質にこだわった人はあまり見かけない。
ただ、最低限に聴き取れる音声であれば再生回数は減らないだろう。こちらもやはり内容だと思う。

IP技術の進歩によって益々高音質になっていく

既にハイレゾの番組配信も行われているようにラジコなどでは今後高音質になっていくだろう。
音質の向上は技術の進歩に伴い必然的に行われる。FM放送は音質が良いからリスナーが増えるという妄想を捨て、まずは番組内容(コンテンツ)の向上に努めていくべきだろう。